ライフスタイルを支えるインフラの一部とも言えるほど、わたしたちの生活に密着した存在になってきたスマートフォン。
登場した頃は、まるでSF映画を観ているような、未来をのぞき見ているような最先端のデバイスでした。一方で、誰にでも親しめる身近さからは少し遠い存在でした。そんなスマートフォンも毎年のように成熟し、完成度を高めていき、だんだんと使いやすいものになってきました。
もはやスマートフォンは時代の先端を象徴する製品ジャンルではなく、新しい世代の必需品、あるいは生活の一部となっています。自分から遠くにあるように感じられたスマートフォンが生活の中に自然に溶け込み、ライフスタイルと一体化する。それほどまでに、スマートフォンの完成度は高まってきていると言えます。
一方で、その完成度が高まり、生活の中に入り込んでくるほどに、製品としては素晴らしいものになっていくスマートフォンに対する違和感も大きなものになっていきました。
毎年のように薄くなっていくボディ、当たり前に大型化し、解像度を増していくディスプレイ。そして、毎年のように増えていく使い切れないほどの機能。
いずれも、スマートフォンを中心としたライフスタイルをより豊かなものにするために必要な要素です。これからも、“よりよい”スマートフォンは必要とされ、生まれ変わっていくことでしょう。
しかし本当に、いまのままのスマートフォンがまっすぐに進化することが、もっと快適な、豊かなライフスタイルにつながっていくのでしょうか。みんなが同じ方向に走っていくなか、わたしたちは“別のこたえ”があると考えました。
これほどまでに、わたしたちの生活の中に入り込んできたスマートフォンは、もはや最先端のハードウェア性能と機能を追い求めるだけでは、前へと進む力が弱まってきているのではないか。数字としてのスペックを追い求めるのではなく、“ひと”に寄り添った、使うひとにとっての心地よさを追求することで、あたらしい、これまでとは違う価値を生み出せるのではないか。
毎日を豊かにすること。心地よくすること。そして、そんな製品としての豊かさをたもちながら、リーズナブルに仕上げること。そんな考え方から出した、もうひとつの“こたえ”。それが「NuAns NEO」です。
デジタルデバイスに囲まれた生活、スマートフォンが行動の中心にある生活をより豊かなものにするため、NuAnsはこれまでも機能、外観といった基本的な要素に加え、触感、佇まい、快適性を重視し、テクノロジー機器に囲まれた日常に、こころの余裕をもたせるよう外観だけではないデザインを施した製品を提供してきました。
“心地よいデジタルライフとはどんなものだろう”。すっかりデジタル化が進んだ、わたしたち自身のライフスタイルを振り返り、思考、行動、さまざまな切り口における心地よさを阻害するものはなにか、ということを見直しました。そうして生まれてきたのが新しい“こたえ”、NuAnsブランドの製品たちでした。これからもデジタルデバイスが社会の中に溶け込んでいくほどに、別のこたえが見つかっていくでしょう。
では“心地よい”スマートフォンとはどんな製品なのか。わたしたちは“こたえ”を探すため、現代のスマートフォンに感じているストレスは何かを、ほんの小さなことも含めて振り返ることにしました。
残量を常に気にしなければならないバッテリー
手に馴染みにくいカタチ
硬く冷たい滑りやすい触感
生活空間に馴染まない佇まい
NuAns NEOが目指したのは、これまでのスマートフォンが進化してきた中で、ライバルに対する競争力を磨き込もうとするがゆえに取り残されてきたさまざまな“歪み”を取り除くことです。もっと自然に、もっと気楽に、自分自身の暮らしに馴染む存在を目指しました。
わたしたちがスマートフォンを作ろうと考えたもうひとつの理由。それは“いま”という時代が、仕事、遊び、日常生活、さまざまなシーンをスマートフォンを中心に再デザインできると考えたからです。
毎年のように多数のスマートフォンが生まれてくる中で、その設計ノウハウは成熟し、またシステムを組み上げるビルディングブロックも改善されてきました。われわれのような小さなメーカーが、まったく新しいスマートフォンを作ることができるようになったのは、“いま”という時代のおかげです。
一方、工業デザインの世界にもここ数年、大きな革命が起きています。デザインとテクノロジー、ふたつの領域が近づき、多様なテクノロジー、多様なデザインを織物のように組み合わせることで、新たな価値を創造することができます。
さらに幸いなことに、わたしたちが住む日本にはもっと心地よい製品を作るために必要な素材あるいは生産のための技術がたくさんあります。それらはふだん、大手メーカーの自動車や電機製品などの一部として使われてはいるものの、必ずしもそれぞれの技術の良さ、本質をとらえたものづくりがされているわけではありません。
わたしたちは大きなメーカーではありません。しかし、だからこそ細やかな使い方、触感など、五感に響く、行き届いたデザインを、これまで見逃しがちだった技術を用いて製品としてまとめ上げることができました。それは、“いま”だからこそ可能になったのです。
NuAnsはこれまでも、スマートフォン中心のライフスタイルをよりよいものにするために製品をデザインしてきました。寝室で起床し、オフィスで仕事をし、カフェで打ち合わせをする。時には外出先でも仕事をし、友人とのランチやディナーを愉しむ。そして夜には自宅にもどり、ゆっくりと就寝する。
あらゆる生活のシーンにおいてスマートフォンが活躍しない場面はありません。そんなライフスタイルの中で、たとえばケーブルハンドリングを改善することで、バッテリーにまつわる煩わしさを解決したり、いろいろな“回答”を製品というかたちにしてきました。
NuAns NEOでは、さらにスマートフォン本体を自分たちでデザインすることで、スマートフォンが中心にあるライフスタイルをさらに具体的なカタチで提案しています。
しかし、わたしたちは見ための美しさ、質感を高めることだけに挑戦したわけではありません。NuAns NEOは手に、生活に馴染むデザインやスタイル、素材を使った“ニュアンスのある”デジタルデバイスであるとともに、新しい時代のライフスタイルに対する“あたらしいこたえ”でもあります。
スマートフォンを中心としたライフスタイルに対する、わたしたちの探求はこれで終わるわけではありません。もっともっと、心地よく過ごせるよう。たくさんのアイディアをみなさまにお見せできるよう、さらに前に進み続けていきます。
NuAns NEOはわたしたちのゴールであるとともに、新しい挑戦へのはじまりでもあるのです。
IT、モバイル、オーディオ&ビジュアル、コンテンツビジネス、ネットワークサービス、インターネットカルチャー。テクノロジとインターネットで結ばれたデジタルライフと、関連する技術、企業、市場動向について。知識欲の湧く分野全般をカバーしている。
2012年トリニティ入社。社内でセールス補佐、レストラン事業の収支から屋根の修理までこなし、社内のすべてに関わってきたオールラウンダーの特性を活かし、NEOのプロジェクトマネージャーに就任。スケジュールから生産管理までまとめ役として活躍。
2006年にiPod、Mac周辺機器を販売する会社を立ち上げる。その後オリジナルブランドの「Simplism」や「EVENNO」製品を筆頭にデザイン雑貨やデジタルガジェットなど「自分がほしいカッチョイイもの」を探し続け、NuAnsブランド立ち上げを経てNEOに辿りつく。
東京大学医学部卒後、医師免許を使わずソフトウェアの道へ入り有限会社キャップを設立。ARENA Internet MailerなどMac用のソフトを手がける。その後ハード、メカの領域にも手を拡げマルチエンジニアとして活躍中。TENTとTrinityを引き合わせた縁もあり、電気製品も含まれるNuAnsプロジェクトにも当初よりアドバイザーとして参画、NEOについてはさらに踏み込みテクニカルディレクターに就任。
オリンパスイメージング株式会社、ソニー株式会社にて、録音機器やカメラ、PCおよび周辺機器のプロダクトデザインをはじめ商品企画や戦略を行なったのち、2011年から治田 将之とともにTENTを設立。「見て楽しく、使うほどに愛着が湧くものづくり」をテーマに、プロダクト開発を中心に据え、商品企画、パッケージ、Web、アプリUI、展示空間プロデュースなど、コンセプトからのトータルなデザインを得意としている。
多摩美術大学卒。デザイン事務所、生活雑貨メーカー勤務を経て、フリーランスとして家電機器、インテリア用品を中心にプロダクト、パッケージ、カタログまで多岐にわたるデザインを手がける。2011年から青木 亮作とともにTENTを設立。「見て楽しく、使うほどに愛着が湧くものづくり」をテーマに、プロダクト開発を中心に据え、商品企画、パッケージ、Web、アプリUI、展示空間プロデュースなど、コンセプトからのトータルなデザインを得意としている。